2017年3月20日月曜日

Chuck Berry

Chuck Berry が死んだ.大往生なので,悲しいとか,そういう感情ではないんだけれど,ロックの歴史そのもののような人であって,かなり最近まで元気に演奏している姿を見せていてくれた人でもあって,なんか,不思議な喪失感がある.

でも,この世間的な訃報の扱われなさはなんなんだろう.

ロックが好きなので,わざわざ言うまでもなく,Chuck Berry は大好きだった.言うまでもなく,ロックンロールの草創期の巨人の一人であり,その中でも,頭一つ抜けたロックンロールそのものという人だったと思う.ロックの殿堂の選出理由を挙げるまでもなく,ロックの始祖に限りなく近い存在なのは間違いない.

ロックなんて概念のない時代,持ち前のポップなセンスとリフスタイルのギタープレイで,明確に「若者」と「ダンス」に焦点を絞って R & B を別次元へ押し上げたことが最大の功績.何が言いたいかというと,同時期のロック創始者と呼ばれる人々の演奏の中でも抜きん出て,いまでも通用する "ロックらしさ" を感じさせるということ自体が,Chuck Berry という存在の大きさそのものだと思う(いまでも通用するというのは,曲がではなくて,いわば,いまでも "Rock or not" の試金石になっているということ.流石に Chuck Berry 大好きな私でも,古臭い曲であることはわかっている).

例えば,リフロックの教科書の様な Johnny B. Goode や Rock and Roll Music をカバーするミュージシャンは,現在でも少なくないだろうけれど,Buddy Holly や "KING" Elvis の曲をカバーするアーティストはほとんどいない(もちろん,不幸な飛行機事故がなければ Buddy Holly だってそういう存在になっていただろうけれど).例えば,ダッグウォークに代表される特徴的な歩き方での観客の煽り方,ソロの時に縦にしたギターを高く掲げる姿,ギターを上下に揺するような演出などなど,いまでも見かけるロックギタリストのアクションの基礎も作った(もちろん,ロックの胎動がはじまる頃のミュージシャンの総体的な産物ではあるけれど,間違いなくいまに伝えた功績は Chuck Berry のものだ).

それなのに,この訃報の軽い扱いはなんなんだろう.少なくとも,日本では,ほぼ話題になっていないといっていいレベルに感じる.なんだか,それがロックそのものの衰退の象徴のようで,なんだか,妙に悲しい.

個人的に,一番大好きな,Sweet Little Sixteen を聞きながら.

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