2018年11月28日水曜日

長さ

最近,時々,手塚漫画を読み直すことがある.そのたびに思うのが,とにかく「短い!」ということ.

いい悪いの話ではなくて,とにかく,手塚漫画って短い.後期,「ひだまりの樹」あたりは,わりとだらーんと間延びしている感はあるけれど,それでも,あれ KC サイズの 10 巻くらいでしょ?

「火の鳥」なんて,改めて読み返すと,各編が短すぎてビックリする.本当に短い.頭の中に残っているかつての記憶の 1/5〜1/10 くらいのイメージ.昔,浦沢直樹がアトムの中編を,脳内で勝手に付け足していたストーリーを交える形でリメイクしたりしていたけれど,そんな感覚に近いかもしれない.

それに比べて,今の漫画のなんと長いことか.長いことがすなわち悪いという話ではないんだけれど,「本当にその長さは必要なのかい?」とは思う.あげつらうわけではないけれど,20 年近く連載している少年漫画,というかぼかさず書くけど,ONE PIECE なんて,その長さに意味あるのと言いたくなる(誰が継続して読むのよ,と).

長編を書くより中編,中編を書くより短編を書くのが難しい,とはよく聞く言説だけれど,結局のところ,エッセンスを編集するという能力が現代人から欠落してきているんじゃないのか,と思う.だだらに続くアニメやドラマと,2 時間の映画の対比とか,近似できる気がする.

たぶん,その背景に,記録媒体の変化とか,視聴環境の変化とか,諸々絡んでいるだろうし,これに絡んで(書きながら),いわゆる「日常系」とか「美少女動物園」的なアニメとかに関する論も思いついてしまったのだけれど(長くだらだら書いてもいいという感覚と,永続的に続いて欲しいという感覚の相関とか諸々),どんどん長くなるので,この辺は,いずれどこかに書くかも.

思考のクリップとして,とりあえず,ここに書き散らしておく.

ばんぱくばんざい

大戦で一度荒廃した日本が東京オリンピックと大阪万博で輝かしく花開いて,東京オリンピックと大阪万博で花と散るのではないかと思うと,すごい話だな,と思います.

あ,誤解されないように言っておくと,万博そのものは日本でやるなら眺めに行っても面白いかも,くらいには楽しみです.五輪はべつに…….

あと,(同意見多数だと思うけれど)浦沢直樹が「今時,万博って……(意訳)」という発言をしたってニュースが地味にツボ.

2018年11月26日月曜日

ボヘミアン・ラプソディ

……を見てきた.映画として,普通に面白くてよかった.フレディ役の入れ込み具合いとか,Live AID の再現とか,事前に話題になっていた部分は,もちろん,すごかったんだけれど,個人的には,フレディ以外の役者の本人への寄せ具合いもなかなかだったと思う.

個人的に心を持って行かれたのが,Queen のメンバーの関係性というか,アルバムを作っているときの雰囲気の再現部分.フレディの完璧主義とか,実は,脳のネジが数本外れているブライアン・メイとか,ロジャーが常にカリカリしている感じとか,ジョン・ディーコンがマイペースなあたりとか,なんとなく,ファンの想像する Queen 感があって,よかった.

一方で,もちろん,映画として作らなければならないという前提で,それは,事実を基にしたフィクションとして切り分けなきゃいけないんだけれど,フレディを取り上げる以上,避けては語れない,セクシャリティと性愛の部分に関して,あまりに物語として矮小化しすぎているきらいがあったのが,少々,残念でもあり,仕方がないとは思いつつ,それはまずいんじゃないかとも思った.長いし,どうでもいい個人的な感想なので,これ以上は書かないけれど.

そういう意味で,フレディを基にした映画=フィクションとして,非常に良くできた作品だったとは思う.少なくとも,Queen が好きな人は見て,絶対,損はしないと思う.

2018年11月4日日曜日

六花とあかね

グリッドマンが話題なので眺めてみたが,わかりやすく可愛い女の子キャラだなと思った.

ちなみに,グリッドマンは,ドンピシャ世代だし,たぶん,当時,見たこともある気がするんだけれど,全然,記憶に残っていない.小学生とはいえ,流石に高学年だったので,本気で見ることはなかっただろうとはいえ,同時期の特撮と比較しても,ほとんど記憶にないというのが逆にすごい(その番組の存在は覚えているのに).

2018年11月3日土曜日

すりぴす

もうすでに,だいぶ,時機を逸した感が強いけれど,「あそびあそばせ」の OP だった「スリピス」がすごい.曲単体を聞いて衝撃を受けたのは数年ぶりかも.三十代も半ばになって,自分でも自分の感性死にかけているって自覚もあるなかで,死んだ感性に衝撃を与えられるということが,まずすごい.

音作りも,詩も,詩と音のコネクションも完璧に近くて,すげーなと思っていたら作詞,作曲,編曲全部一人だった.天才か,と思った.

教育に関してよくみる言説

特定の学術分野に関して,一般人がトンチンカンな反応をしたりするのを見た際,「◯◯について学校(特に義務教育)できちんと教えるべきだ!」と鼻息を荒くしている人をよくみる.もちろん,社会で共通認識として通用するべき常識的な教養の範囲(=義務教育が担保すべきレベル)は,高く広い方がいいのは当然なんだけれど,指導内容が無限に増やせるわけではないので,そりゃ,限界があるだろーよ,と思う.

そもそも,自称:ふつーの大人の大部分は,義務教育できちんと学習していることでも,ろくに覚えていないので,その「◯◯」についてしっかり義務教育(〜中等教育)に取り込んだとしても,基本的には現状と大して変わらないだろうと断言できる(一般向けの教養系クイズ番組の問題の大部分は義務養育レベルだけれど,それに悩んだりして楽しむ視聴者が大部分なわけで).

さらにいうと,その「◯◯」が義務教育〜中等教育の範囲内で,普通に教えられている内容であることが大半だったりする(ちなみに,高校進学率(=中等教育修了者)は 1990 年代以降,95 % 以上だそうな).それでも,覚えていない人がいて,そういう人がトンチンカンなことをいうというのが現実なのだ.

人間が総じて物忘れの激しいバカであるという巨大な事実の前では,諦観しかない(ので,私は熱くなれない).

まぁ,その程度に,人類みんなバカと思って暮らしている方が平和で,教育とかについても,より建設的な議論ができるんじゃないかと思うんだけれど,どうですかね?

設定

アニメでも映画でも小説でもなんでもいいんだけれど,見ていて,設定がガバガバなものでも許せるというか「こまけぇことはどうだっていいんだよ!」って感じで見られるものと,なぜか小さな設定の違和が異常に気になってしょうがないものがある.

あれ,なんなんだろうね?

やがて君になる

百合好きとして,作品自体は以前から知ってはいたけれど,漫画に関しては猛烈な絵柄フェチなので絵柄的に敬遠していたが,アニメは眺めている.

基本的に,クセがない恋愛ものなので,まぁ,楽しいんだけれど,主人公が中二病を発症したイキリ中学生男子,七海先輩が童貞をこじらせた発情中学男子にしか見えなくて,百合漫画を見ているというより BL 漫画を見ている気分に襲われるというのが難点.

作者や担当している編集などの作品の根幹にいる人の性別は知らないけれど,おっさんが透けて見えるというか…….漫画の方はそうでもないのかな?

2018年9月9日日曜日

転職のお知らせ(?)

……などと,偉そうにブログを書いている私の学会直前の Tweet をここで振り返ってみましょう.

16:57 - 2018年9月2日
来週,某学会が開催されるはずなんだけれど,まったく当日に関する指示が回ってこないんだけれど,本当に大丈夫なのかしら?

17:02 - 2018年9月2日
(実行委員の偉い人が,昨年大会が台風によって中日中止になった件をみて,昨年大会よりは問題は起こらないだろうとか言っていたけれど,まさにその台風が大会中にやってきそうなんですが)

17:03 - 2018年9月2日
中日中止になったら(なんの準備もできていない)私の発表が吹っ飛ぶので,中止になってくれても構わないんですが

……正直,事前準備の段階からあまりにグダグダだったので,昨年大会(台風で 1 日中止)よりひどい状況になって,運営責任者の責任問題に発展すればいいのに,と思っていましたが,この願いが天に届いた結果が,今回の災害につながったのだとしたら,誠に申し訳なく思うとともに,地質学者を廃業して拝み屋稼業をはじめたいと思っております.

7 年ぶり 2 回目の話

9/6 未明に発生した平成 30 年胆振東部地震に札幌市内で巻き込まれたブログ主がこちらです.震災と呼ばれる規模の地震に被害の中心地近くで巻き込まれるのは 7 年ぶり 2 回目です.自宅は,札幌市内でもわりと早く電気が復活したので(9/7 未明頃?3 時に起きた時に通電を確認),現時点では,全くもって被害がなく,すでに日常感が溢れていますが,とりあえず「生きていますよ」という報告です.

記録というか備忘のために私の経験した出来事を時系列を残しておきましょう.半分以上,地質学会批判です(笑).これでも,だいぶ批判はマイルドにしたよ.

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9/6 未明(3:00 頃):強烈な揺れで目覚める.とりあえず,寝所の両脇にあるものを抑えながら揺れが収まるのを待つ.揺れながら,「長いな.震度は 5 強〜6 弱かな.このくらいなら大したことないな」と思っていたが,この辺は,前震災の余震地獄で培った感覚.すぐに気象庁サイトで規模を確認したら,震度予想はドンピシャだった.

気象庁やら USGS やらのサイトで震源を確認し,「石狩東縁にしては深いな,1年くらい前にもこの辺のこの深さで揺れたな」ということを考える.そんなこんなの簡易的な情報収集をしているころ,揺れの 10〜20 分くらいあとに,(なんの前触れもなく)急に停電になって,「あれ?」と思う.地震による停電は,前回,経験済みなので,それと比べて違和感があった.とはいえ,夜中の 3 時に起きていても仕方がないので就寝(余震があろうが眠れるのも前回の震災で培った能力.嫁はろくに眠れなかったらしい).

9/6 6:30 頃.普段通り目覚める.停電から回復していないことを確認.うちは運良く,電気のみ不通の状態で,水は水圧分配なので無事,火についてはカセットコンロやらキャンプ用のガスストーブやらがゴロゴロしているのでいくらでも使えるという状況でした.

ラジコで NHK AM を確認すると,震源付近の斜面災害と全道停電という,想像以上に大きい被害状況を知る.と同時に,「今回の地質学会は飛んだな(確信)」と思う(9/5〜9/7 の日程で,地質学会の 125 周年記念大会が北大にて開催中でした).

とはいえ,本当に学会が飛んだか確認しないといけないので(ホスト側の実行委員の一人だったし,その日の午前に講演予定だったし),8:00 前に会場に「中止を確認に」行く.

会場について,今回の仕切りをやっている先生に「今日は当然中止ですよね?」と聞いたら,「午前 8:00 に停電が復帰しなければ午前中止.11:00 時点で復帰していなければ午後も中止.ポスターは貼っていてもいいことにする.電気が復帰すれば学会はできるでしょ?」などと,間の抜けた回答が帰ってきたので,思わず「(この状況で危機感がないとか)馬鹿ですか?」と返答してしまう.付き合いきれんと思いつつ,8:00 で停電継続,午前中止を確認してから,職場に移動する(講演予定があったので,一応,中止が確定するまではクソ茶番に付き合ったよ!).学会の連中は,地質災害の真っ只中で,地質学者が集まってワイワイしていたら,世の中にどう思われるのか理解できないのか,と.

職場に着くと,とりあえず,所員の安否確認とか,緊急調査の会議とか,現状被害の情報収集とか始まっていて,「当然だけれど,まぁ,地質関係機関として,これが正常な反応だよな……」と学会の対応が情けなくなる.

……その一方で,電気が来ていないので車庫から業務車が出せない(シャッターが手動で動かない),予備電源用のガソリン発電機のうち 2 台が整備不良で動かないという,情けない状況も発生(発電機が 1 台は動いたので,とりあえず,最低限の電源は確保できていたけれど).

諸々ありつつ,とりあえず,市内の被害状況(液状化など)を調査するチームが出ることになり,その第 2 班に選ばれたので,昼前くらいからマイカーで清田周辺の被災状況調査に出る(その辺の打ち合わせなどをしているうちに,学会は午後も中止,ポスターは貼っていいという状況になっていたらしい.どーでもえーわ).

そんなわけで,17:00 くらいまで,市内を緊急調査.液状化(噴砂,マンホールの浮上など),地割れ,建物の破断などの状況を調査.ニュースで取り上げられているいちばんひどい場所には,我々の班は行かなかった.

調査中,学会で来ていた師匠,元指導教官殿から安否を含め連絡があるが,「こういう状況なので対応できない」旨を伝えると,「そりゃそうだな.頑張れ」という反応だったので,この人たちはマトモな感覚だった,よかった,と思う.

帰庁時点で,学会がまだ完全中止になっていなくて「本当に阿呆だな」と思いつつ.いまだに職場の電源が復帰していないので,調査データをまとめるすべもないので,帰還命令がでる(電子管理ってこういう状況だと全然ダメね)

この時点で,停電の長期化が懸念されていたので,出遅れたものの,過度にはならない程度に備蓄食料などを確保する(もう,だいぶ出遅れていたけれど,会社が休みだった嫁が買った分と合わせて数日耐えられるだけのものは確保).

この時間くらいから電波塔の非常電源が切れ始めたのか,自宅周辺は携帯の電波が失われていたので,携帯の電源維持のため機内モードに移行(携帯の充電は,職場でできることになっていたけれど,一応,保守の意味も込めて).

帰宅中に八軒,琴似エリアの電気が一部回復していたことを確認していたので,このエリアに非常時連絡やら,物品の買い足しやらで外出(19:00〜20:30 頃).ついでに,師匠と元指導教官殿の状況等を電話で確認.

帰宅中,電気がない世界を歩くと,星がよく見えて,しばし見上げる.ふと周りを見渡すと,道行く人の多くが,なにかを諦めたような顔で,ものすごく綺麗な星空を見上げている,という状況.わかるよ.空を見上げるくらいしか,心が平穏を保てる瞬間はないのだよね.そういえば,震災下の仙台でも,こういう光景はみたな,と思い出す.

帰宅後,夕飯を食って,就寝(21:30 頃).

9/7 未明(3:00 過ぎ).ふと目覚める.外を見ると,自宅マンションの真下の信号がついているのに気付く.もしかしてと思い,自室のブレーカーを on にすると,通電(後でわかったけれど,札幌市内でも相当早い復帰だった模様.マンションの裏手に病院があるから?).

6:00 起床.学会が此の期に及んで,まだ中止を決めあぐねているのをみて,本当にどうしようもないな,と思いつつ,出勤準備.

8:00 一応,学会が中止になっていることを確認しに会場に寄る.当然,全行事の完全中止.元指導教官殿と少し会話し,昼頃に元指導教官殿と数名を空港に送ることを頼まれる.

出勤.前日と状況はあまり変わらず.前日は,緊急調査だったので(防災関連部署ではない)自分も調査に出たが,今日についてはお役御免だったので,所内の被害状況の調査など.

10:30〜 元指導教官殿ほか 3 名の送迎.ガソリンスタンドに並ぶ列などで猛烈な渋滞が発生している状況や,市内の交通状況を把握.前日の調査時よりは信号の復帰率が高かったけれど,幹線道路を通っているにも関わらず,3〜4 割程度しか信号は点いていない印象.ちなみに北大〜新千歳空港の往復で 3 時間以上かかった(高速は混んでいなかったが,市内と新千歳空港の乗降口の渋滞がひどかった).

車内で,「こんな状況で,ポスターセッションだけはやるとか馬鹿な提案をしたのは誰だ?」とか「意思決定が遅すぎた」という話をしていたのが,「え?この人がそれを把握していないのはどういうことなの?」という立場の人だったので,学会運営上の意思決定がメチャクチャだったのだということを実感.もちろん,口の悪い元指導教官殿にその旨突っ込まれていた.

14:00 頃に職場に復帰すると,庁内が通電していたので,前日の調査結果のまとめなど.その後,特にやることもなかったので,今回の地震のメカニズムの話とか,厚真の地すべりの話とかを上の人と一頻り議論.

18:00 前頃に帰宅.

なんか疲れていたので,その日から営業していた近所の馴染みの定食屋(断じてジャンヌではない)で,夕飯.定食屋のおばちゃん(近所在住)と雑談.

その時点で,自宅のインフラは完全な状態だったので,余震には気を付けつつも,自分の中で,日常宣言をだして,今回の震災は自分の中で終焉.もちろん,仕事上は,これから色々忙しくなるんだけれど,土日はゆっくりしようと思いつつ就寝(23:00 頃).

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雑感として,今回の災害は,典型的な政治的人災だなと思っています.それは,不用意にベースロード電源の完全停止をしていたこととか,行政がエネルギー源の一極集中を放置していたこととか(石狩新港発電所の件は立場的に一般人の数億倍よく知っているので,指摘(と書いてクソリプと読む)等はいりません!),札幌市,ひいては北海道の地質災害に対する認識の甘さとか,市民の認識不足とか(この辺は道民の地質リテラシー向上の一角を担う我々の敗北でもある),(地震災害が多い地域の都市と比べて)札幌市の都市機構の脆弱さとか,そういうものを引っ括めた点からの総合的な結論です.少なくとも,震源近く以外で発生した状況は,この規模の地震程度で起こっていい事態ではなかったと確信しています.

私も,道の公的機関で,(諸々の紆余曲折がありつつ)「地域エネルギー」を冠する役職にいる人間ですので,今回の事態は手痛い反省材料になったと自覚しつつ,仕事に反映していきたいと(ちゃんと本心で)思っております.

2018年8月28日火曜日

バカに「バカ」といえることの重要性

ここ近年,ずっと思っていること.

知識が不足している人や筋道の立った思考ができない人が,場を引っかき回すのが問題であることは言うまでもないけれど,そういう人に「バカは黙ってろ」と言わない人はもっと罪だよね,ということ.

初音ミクとの結婚とかの話

二次元キャラとの結婚についていつも思うんだけれど,結婚という,本来,当事者2人が合意のうえで手続きする制度に対して,片方の欲求に従って結婚という自己満足を得る行為って,あまりに一方的かつ暴力的な感情過ぎて,少し引く(ただし,ラブプラスを除く).

非実在少女の人権とかそういうことをいうつもりはないんだけれど,キャラと結婚したいと感じる程度にキャラを「人扱い」する(させる)のに対して,キャラが「自分と結婚したい」と思っているという思い込みの暴力的な傲慢さというか,キャラを「人扱い」するのに対して,キャラの「感情」は自分勝手に規定しているというダブルスタンダード状態とか,なんか,そういう部分が受け入れられない.

2ch のコピペだったか,同人作品だったかで,「物語に入り込める能力」を手にしたおっさんが,物語に入って好きなキャラに出会ったけれど,その好きなキャラは「物語上の思い人」を求めていた……みたいなネタがあったけれど,そういう感じ.

2018年8月19日日曜日

せまい有限

最近,立て続けに貴重な文献や記録が廃棄されてしまったというニュースを耳にする.それについて,批判をするのはたやすいし,(特に大学や研究機関に対して)「それでも学問の府か」と批判したくなる気持ちもわからないわけではない.

ただ,金銭的にも,空間的にも,資料を適切に保管し続ける能力は,非常に狭い有限なわけで,特に,それらが不足している地方大学や国の公的機関に対して,金も何も出さずに「批判」を叫ぶなんて,本当に無責任だと思う.

2018年8月9日木曜日

だれかが言ってた

訃報にピンとくることが多くなったら,それはもう,年寄りなんだよ.もう,最近は,知らない人の訃報って見ないなぁ.

完新世が3つにわれたよ

全然知らない間に完新世が3つにわれていました.GTS 2012 は読み込んでいたつもりだったけれど,全然,そういう議論に気付いていなかった……,と思ったら,公的には Consice  GTS 2016 から始まった議論だったみたい.今回の GTS Chart の根拠論文にまだ目を通せていないけれど,基本的には Consise GTS 2016 の議論が踏襲されて,それぞれ,GSSPs が設定された模様.

Northgrippian の criteria としては氷床コアに認められる約8200年前の寒冷化イベントのスパイクが,Meghalayan の criteria としては,インドの洞窟堆積物(鍾乳石?)に記録された約4200年前の赤道域の乾燥化イベントが認められた模様.第四紀にも考古学にもあんまり詳しくないのだけれど,4200年前の乾燥イベントは,いわゆる四大文明のうち,ナイル,インダス,メソポタミアに大打撃をもたらしたらしい(いわば,環境イベントによる絶滅事件という,古式ゆかしい年代区分基準でもある,ということ?).

はじめに聞いたときに,まぁ,大体,ヒプシサーマルの前と後で3分割って感じ?と思っていたので,そんなにずれてはいなかった模様.大体,このくらいの近い時代になると,地域差が大きすぎて global correlation に意味を感じなくなるね.たぶん,日本の沖積層研究においては,この3区分より,縄文海進のほうが大事.

しかし,Northgrippian っていう名前も,なんだかなぁ……(※NorthGRIP:2000年頃に実施された超有名な氷床コア研究計画の名前).同じ氷床コアを使って,Holocene の基底,すなわち,今回でいう Greenlandian の基底も定義されているので,Greenland の名称がすでに時代名に使われているせいだと思うけれど,あんまりにもあんまりじゃね?掘った辺りには地域名とかなかったのかな?

環境を取り巻くあれこれの話

お久し振りの更新.なんとなく,今後書きたいことととかの準備的な話.

アカデミアの中心部から離れて久しい人間ですが,学会なんかに参加すると.未だに「大学に戻る気はないの?」と声を掛けてくださる先生もいらっしゃいます(場合によっては「〇〇のプロジェクトで歩ける PD が必要」などの具体的な話を合わせて).自分のようなアウトプットも少なく,大した業績もない人間を覚えていて下さり,(冗談交じりでも)そういう形の声を掛けていただくのは大変光栄で,ありがたいのですが,今のところ,自分の意思で大学に戻る気はありません.

それは,現状の安穏としたパーマネント研究職にしがみつきたいからとか,最近の大学周りの行政的なあれこれとか,教育をしたくないとか,自分の能力的な問題とかではなく,大学以外の研究機関という今の職場に入ったときに見えた学問世界の景色を大切にしたいというのが大きな理由です.

というような話を色々と考えています.