2016年4月24日日曜日

いまの学生

自分の母校(大学)の敷地内にえぐりこむような形で配置されている職場に通っていると,どうしても,自分の後輩にあたる子供達の様々な姿が目に入ってしまう.それは,楽しいことでもあり,懐かしさと郷愁で物悲しい気分になることでもある.僕は,年を取ってしまった……(といいつつ,基本的に 10 年以上,大学に所属していて,すぐに現職場 [not 大学] に入ったので高校卒業以来,大学から物理的に離れたことはないのだけれど).

先日,ふとしたことで,新入生向けの某大学(と伏せる意味があるとは思えないけれど)紹介パンフレットみたいなものを眺める機会があって,なんか,隔世を感じてしまった.

もちろん,校風とか伝統とか変わっていない部分はあるんだけれど,根本的なところで,僕らの頃と「大学生像」が大きく変わっているのを感じた.

僕らの大学生初年度の頃は,まだ,意識が高くて(系じゃないよ),それなりにリアルを充実させているような大学生というのが理想像として存在した気がする(今風に言えば,みんな意識が高いリア充に恥ずかしげもなくなりたがっていたということ.そして,彼女が欲しかったし,セックスがしたかった.それが恥ずかしいことではなかった).

級友と図書館で試験勉強するのとか(その時に頑張って女の子のグループを誘ったりして.特定の教科に強いやつとかがいるといい口実になったw),大学生になったからというきっかけで哲学書を持ち歩いたりとか,わからなくてもそういう本を乱読したりとか(そんな乱読が未だに教養として生きていたりする),ある日唐突に特定の学問にのめり込んで勉強しまくったり,いかにその学問が面白いか語りあったり,夜通し酒(もちろん,某大生なので SS)を飲んで(その頃はまだ飲んでた.その頃のやらかしのせいで今は一切飲まない.もちろん,元々,強くはなかったけれど)男友達と下らないエロ話から学問のこと,社会のことまで議論したりして朝を迎えてしまうとか,下らないことで殴り合いの喧嘩をしたのはいいけれど,数日経つとなんであんなにいがみあったのか忘れて,また仲直りの酒を飲んだりとか,バイトで金を稼いで友達とすすきのに繰り出したりだとか(色んな意味で),適度にサークルで遊んだりだとか,合コンに繰り出したりだとか,そういう姿が「大学生像」として確固なものだった.その一方で,サークルにのめり込んで落第したりとか,すごいマニアックなことに偏執的にハマってみたりだとか,ふらっと授業を抜け出して(そこまでは恥ずかしくて言えなかったけれど,結局のところ「自分探しの」)旅に出てみたりだとか,そういう大学生像もあったり.ともかく,そのころの僕らに共通していたのは,リアルにそこにいる・あること以外には大きな価値を感じないというのが大学生の基本的な価値観だったということだと思う(もちろん,今風のオタクとかアキバ文化というのは,僕くらいの世代が奔りではあって,そういう人たちもいたけれど,もっと謙虚だったというか,それはそれ,リアルはリアルと使い分けるのが最低限の礼儀だった気がする).

因みに,インターネットは,ちょうど,テキストサイト全盛期で(少し後にフラッシュ黄金時代),時々,話題になることはあったけれど,決して日常的話題のメインストリームじゃなかった.ただ,さるさる日記とか,日記系のサービスがあって,みんなそんなところで日記を書いたりとか,HTML 手打ちで個人サイトを持って,リンクし合うなんていう,今でいう SNS の手工業版みたいなことをやっていた.僕も HTML 手打ちの個人サイトとか持ってた.今も,その当時のものがネットの海のどこかに漂っているけれど.

そんなのも,もう,15 年くらい前の話だ…….

いいとか悪いとかではなく,最近の大学生像は,とにかく 2ch 的なものに代表されるインターネットの世界や SNS が練り上げてきた価値観が,すべての前提とされていて(僕の頃は 2ch なんてできたばっかりだった.SNS やブログに至っては存在すらしていなかった),オタク(と称するただのアニメ視聴者)とかぼっちとか,そういうものを肯定的に……というか,一定の地位を持ったキャラクターとして認識していたりして(この辺の感覚が,僕らの世代が感じるぼっち感とすごくかけ離れている.一定の地位があったら,ぼっちじゃないじゃん,とか),逆に,僕らの頃の理想像としてあった「リアルを充実させる」ことに憧れたり,そのために努力したりするのは格好悪いみたいな風潮があるみたいだ(意識高い系の揶揄とか.「系」だったら叩いていい,みたいな風潮も僕はそんなに好きではない).

もちろん,僕らの世代も,もっと上の世代から,学生の姿が変わった,という言われ方をしてきたし,変わることが悪いなんてことは絶対にないけれど,十数歳の年の差で,もう,価値観が相入れなくなってしまっているという事実が,自分の老いを認めるようで悲しいのだ.

なんか,書きながら,猛烈に大学の教養時代のことを思い出してしまって,異常に長くなってしまった.

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