2015年7月16日木曜日

芥川賞のこと

某お笑い芸人が芥川賞を受賞したという.

実は,この人の本,話題になった頃にパラ読みしたんだけれど,今回の受賞は,(少しネガティブな意味で)想像できたものだった.

簡単にいうと,この人の本や文章は,いい悪いという以前に,昭和中期くらいまでの古い純文学が好きなんだという気持ちが強く伝わってくる文章だったということだ.たぶん,この辺が受賞の最大の理由じゃないかと思う.このくらいのレベルが,今の審査員による純文学評価の限界なんじゃないかと思っている.

かつて,多くの尖った才能が純文学を革新しつつ,芥川賞の審査員団とぶつかってきた歴史が,結局,(今回に限っては話題集めという点も含めて)頭の古い審査員によって「古典的」な価値観が揺り返してしまったことに,この賞の将来は閉ざされた感が強い.

ちなみに,誤解を与えないように言っておくと,パラ読みしただけだけれど,僕自身は,又吉さんの文章は好きでしたよ.むしろ,いまの権威化した芥川賞なんて受賞辞退して蹴り飛ばしてしまえばより格好いいと思うくらいには.

あと,羽田圭介さんの本は読んだことないので,コメントできません.

2015年7月15日水曜日

あんぽ

安全保障関連法案が衆院通過ということで一段落.

この法案の内容自体,存在意義に文句はいう気がないのだけれど,現行憲法とのすり合わせに関しては,少なくとも「解釈改憲」という言説は,どう考えても無理があると思っている派です(そもそも,改憲論者だし).政治の問題として,なんで国家の自衛権に関して明確化するような改憲を先にやらなかったのかと.

そもそも,改憲がなせれば,なにも問題なく話が進む問題だし,憲法が維持されるんであれば,国際社会(というか主にアメリカ)になにを言われたって,現行のスタンスを貫くしかない国に成り下がるだけの話.

今後,安全保障に関して,無駄な政治闘争,訴訟合戦が繰り返される未来を考えると,多少の無理を押しても改憲決議をとる方向で爆死しても良かったんじゃないかと思うんだけどな.その辺,(この人を褒めたくはないけれど)橋下は政治が上手かったと思う.

2015年7月11日土曜日

さて

先週の出張のとき,職場の上司とも話になったのだけれど,「バケモノの子」の件.

http://dokuwakooshow.blogspot.jp/search?q=夏戦争
http://dokuwakooshow.blogspot.jp/search?q=おおかみ

上記を見ていただければ分かる通り,長編アニメ映画作家として細田守が嫌いです.しかし,一部には熱狂的なファンがいるらしく,僕がかなり嫌いだった上記 2 作品を「いい」と思った人がそれなりにいたのも事実で,そういうのは好みの問題なので,そういうもんだと思っているのだけれど,今回の作品に関しては,どこからも悪評しか流れてこなくて,それはもう気になっている.

この時点で,あえて「見ている」人は,間違いなく "これまでの" 細田作品のファンであることは間違いないと思うので,それがこれだけ酷評しているってことは,好みの合わない人たちが「嫌い」と感じている作品は,僕が好きな作品なんじゃないかと思ってしまう.

もしかして,見ておくべき?

きたん

乱歩を原案にしたアニメに関して.

どの時期の乱歩に焦点を絞るかによって大きくテイストが変わってくるけれど,僕個人は「悪霊」くらいまでが好きで,洋装のパリッとした明智が活躍したり,小林少年が出てきたりするのは好きではないので,見るかどうかをかなり悩む.

当該のアニメは小林少年が頭おかしいという設定みたいで,それ自体は,期待したいところなんだけれど,いかにもイケメン・美女・中性的な人間しか出てこないとか,乱歩前〜中期の不細工なクソ野郎が精神的にも性的嗜好的にも歪みまくっているというダウナーなエログロナンセンスとはやっぱり違う気がするのだった.

でも,噂に聞く "小林少年が女と見紛うばかりで愛され体質なクソ変態" という設定は,乱歩も好きそうだなと思った.むしろ,公式で明智くんと絡ませるべき(性的な意味で).乱交も可.

2015年7月5日日曜日

正しいの種類

前に書こうと思ったけれど,書ききらなかったネタの備忘.いずれ,書く.

科学的に正しいは政治的に正しいとは違うし,それらは,当然,(住民)感情的に正しいとも違う.これは,そもそもの立脚点が違うから当然のことだけれど,忘れがち.もちろん,それぞれの段階の中でさえ,細かくスタンディングポイントの差による,正しいの差を作ったりもする.

だいたい,こういう場合,ストレスを溜めるのは,立脚するデータを採集した科学よりの立ち位置にある人間になることが多い.一方で,科学には決定権もそれに伴う責任も伴わないことをいいことに,放言を繰り返す人間もいたりして,たちが悪いというのも科学界隈の特徴だったりする(でも,たぶん,この時代はそろそろ終わる).だいたい,こういうのが軋轢を引き起こして,良心的な人間の大きなストレスになる.

2015年7月1日水曜日

ちょっとした疑問

たまに定時(からそんなに経ってない時間)に退勤すると,猛烈な数の人が帰宅していく姿を見る.それはもう,世の中にサラリーマンはこんなにたくさんいたのか,と思うくらい(かれこれ,10 年以上,いわゆる "定時" に街中を歩く生活をしていなかったので).

そういう状況を眺めていると,どこに,ネット上に溢れている残業地獄な人たちがいるのか不思議に思う.だいたい,19:00 を過ぎるころには帰宅するサラリーマンなんてほとんど見かけなくなるし,20:00 を過ぎるとオフィス街の窓の明かりもほとんどが消えているし,どこに残業地獄と言われている世界があるんだろう?

ネットの世界を覗くと,世の中のサラリーマンの大部分は,毎日のように残業して,土日も休日出勤して,死にかけているはずなのに,そういう人をリアルでほとんど見ることがないのはなぜだろう?

少なくとも,ちょっと前まで日常だったごく平均的なクソ院生,クソポスドクどもよりも働いている社会人というものを,僕は見たことがない.本当に,どこにブラックという世界があるんだろう?

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念のために書いておくけれど,いろんな方向への皮肉ではあるけれど,本当に,わからないわけではないです.

サマータイム的な

職場でサマータイム的なものが制度化されて明日から試行期間に入る.要は,個人が一日単位で一時間早く出勤して,16:30 に退勤する仕組み(前日までに申請).

まぁ,日本で仮にサマータイムを導入するのなら,北海道以外は(中緯度域だから)ほとんど意味がないというのが一般論なので,北海道で似たようなニュアンスの制度が導入されるのは構わないんじゃないかと思うけれど,個人単位,一日単位でやることにあんまり意味を見出せない.早出した日は残業禁止だし,そもそも,早く帰りたければ,(消化のあてのない)有給使えばいいわけだし.

本来の定時後に予定(飲み会とか)がある日は,早出して定時を繰り上げてのんびりしてもいいような気がするけれど,そうでもなければ,16:30 とか中途半端な時間に放り出されてもなぁ…….そんな中途半端な 1 時間のために,朝の貴重な 1 時間を使いたくないw

まぁ,そんなわけで,たぶん,僕は,この制度を使うことはないと思う.一回くらいお試ししてもいいかもしれないけれど.

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そういえば,どこかで,かつて日本でサマータイムを導入したとき,体内リズムの変化を強制した結果,健康を害した例があったとか,そういう記録を読んだことがある気がするけれど,どこで読んだんだったかな?(ネットとかそういうあやふやなものではなくて,ちゃんとした文献で読んだ記憶がある)

個人単位で,出勤時間をずらして,朝の頭の回転が早い時間に人に邪魔されずにデスクワークができるというのは,サマータイムよりは,まぁ,現実的なスタイルかつ合理的だと思うけれど,他の人との仕事の都合上,そんなに頻繁に早上がりをできるわけがないので,どこまで意味があるのかは疑問.

こんなんより,フレックスタイム制を導入してくれた方がありがたい.