チンパンジーが「調理」の概念を「認知」する「能力」があったというニュース.
このニュースは,日本語のものの中では,それなりに詳細を書いてある記事と論文のアブストを読んだだけなんだけれど,従来の類人猿の「学習」に関する研究との差異がいまいちピンとこない(そもそも「学習」に関する研究もよく知らないけれど).多くのチンパンジーが火を通したものを生のものより「美味い(好ましい)」と感じているようだということと,積極的に「美味い(好ましい)」ものを得ようとすることは面白いかもしれないけれど(これは,いわゆる棒と天井に吊るされたバナナを使った実験との大きな差異である).
さらにいうと,調理の起源云々の言説とか,「調理を認知する能力」を共有派生形質みたいに扱う言説は,かつて今西錦司がハマった闇の匂いがプンプンしてくるので,なんともモニョってしまうのであった.
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論文: http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/282/1809/20150229
(「能力」という単語の使い方の問題で,結局,脳の物質(物理)的な機能の問題なのかもしれないけれど,よくわからない.論文(のアブスト)中では psychological ability という用語を使っているのだけれど,こういう用語の扱いも門外漢のわたくしには判断が効かないのでなんともかんとも.そもそも,論文全部読んでないし!←だからこそ記事のタイトルの通り)
(そもそも,「調理の定義」を「火によって好適なものを得ること」に求めているんだけれど,その場合,「調理」に近似したある作業を行うことで「好適なものが得られる」ことを「認知」できることよりも(今回の実験はこれ),「火」を「道具」として安全に御する「方法」を「認知」することのほうが,よっぽど大きい問題じゃないかな,とか思う(このことはアブストを読む限り,著者も認識している).今回の実験で使われた "道具" は,火ほど危険なものじゃないわけで,これは「棒と天井バナナ実験」と「幸島のサルの芋洗い」の組み合わせのようなもので,それほど目新しさや斬新さを感じないんだけれど,実は,こういう発想自体今までなかったのかしら?)
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